2010年1月28日木曜日

[2月号]モチベーショナル・リーダーの条件

タイトル
モチベーショナル・リーダーの条件
Power Is the Great Motivator
 
著者
デイビッド C. マクレランド
David C. McClelland
デイビッド H. バーナム
David H. Burnham
 
掲載
Februray, pp. 102- 105, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
マネジャーの動機のパターンを分析すると優れたマネージャは、組織全体の利益のためにその権力を行使したいという動機を持っていた。
 
要約
大規模で複雑な組織のマネジャーの場合、成功に必要な一切合財の仕事を自分の手でやり切れるわけではない。部下たちを動かし、組織のために働かせなければならない。
マネジャーの仕事は一人で優れた成績を上げるものよりも、うまく人を動かせるものに向いているようだ。したがって、モチベーションという点からすれば達成動機よりも権力動機の強い人がマネジャーとして成功すると期待される。つまり、達成動機だけが強く、権力動機・親和動機が弱い人間は、正論は言うが、「その正論に周りを従わせる」ということに興味が向かないので、マネージャーには向かない。このことは、ケーススタディからも実証された。
 
ただ、この権力動機は、「マネジャーの権力を拡大し、権限を振りかざす」という方向ではなく、組織全体の利益となるようにチームに前向きなインパクトを与え、強い立場から影響力を行使しチームをコントロールという方向に向いていなければならない。また、親和動機と混同してもいけない。
 
優秀なマネジャーとは、部下にエネルギーと責任感をみなぎらせ、成績に応じた報酬を適切に与え、部下が自分のやるべきことを認識できるような秩序ある組織を整えている人のことである。また、部下に強いチーム・スピリットを培い、チームの一員として働くことに誇りを感じさせるようにしなければならない。
 
親和動機が強いマネジャーは部下と良好な関係を保つことに意識が向かい、「なぁなぁ」の関係が生じ、「例外」に走る傾向が強くなる。このようなマネジャーの場合その例外が不公平に映る。
 
注意しなければならないこととして、優秀なマネジャーの特質は他にも考慮すべきことがある。また優れたマネジャーの権力動機は自分の地位や名誉に向けれられ、それを獲得することではなく、自分が属する組織に向けられる。(つまり、組織の目標達成にむけて「人をコントロール」する、ということである)
 
マネジャーには以下の3タイプがいる。
組織志向マネジャー:
権力動機が高く、親和動機は低く、抑制力が高い。
組織的な権力に関心を抱き、それをテコに部下を動機づけ生産性を高める。
部下は、責任感を強く感じるようになる。
このタイプのマネジャーは明確な組織作りを目指して、高いチーム・スピリットを醸成するので、部下のモラールも高まる。
 
親和志向マネジャー:
権力動機よりも親和動機が強い人。
部下はエンパワーメントされておらず、組織の手続きは曖昧で、自分のチームの仕事にあまり誇りを感じていない。
理性よりも感情で判断したり、その場の人間関係に左右されて場当たり的な決断を下したりすることが多い。
手続きが無視されているため、部下は自分の権限は弱く、責任を与えられていないと思うようになり、次にどうなるのか、自分はマネジャーと比べてどのような立場にあるのか、あるいは自分が何をすべきなのかさえ、わからなくなってしまう。
 
個人権力志向マネジャー:
親和動機よりも権力動機が強く、抑制力は弱い人。
自制心にやや欠けるため、組織作りで失敗する。彼らの部下たちは所属部門というよりは、上司個人に尽くそうとする。
 
伝統的な組織心理学では、権威主義的マネジメント=悪とされてきた。しかし結局のところマネジメントとは影響力を行使しあうゲームである。今回の主張は、これまでの行動科学における調査と矛盾するように見えるが、それは、我々が「動機」の話をしているのに対して、行動科学者は「行動」の話をしていることにある。我々の観点は、あくまで、「それに興味関心を抱く傾向」(動機)を対象にしており、「なぜ、それに興味を持っているのかや、その目的達成の手段としての具体的な行動」を対象にしているのではない。
 
我々の主張は、マネジャーは影響力を行使しあうゲームを、統制されたアプローチで進めることに関心を払うべきだということであり、権威主義的行動に訴えるべきとするものではない。あくまで、民主的に権力を行使しながら行動することが優れたマネジャーの条件である。
 
 
感想
アメリカ文化での労働者のモチベーション管理と、日本文化での労働者のモチベーション管理は異なる気もする。果たして日本で親和動機と権力動機のモラールへの関連はどうなのだろうか。また、もともと1976年の論文であることにも注意が必要。
 
マクレランド自身が書いている論文なので、マクレランドが達成動機・権力動機・親和動機という言葉にどういう意味を込めていたのかが垣間見える。正直、今までの自分の認識が間違っていたのではないかと考えさせられる。「権力動機が強い=人の上に立ちたい=悪」という図式がどうしても頭に浮かぶが、どうも違うようだ。権力動機とは「人をコントロールする」ということを「欲する」「それを獲得することを目的にする」というより、「そういうことが起こるような行動や意思決定をとることが多い」というその人のパーソナリティをさしている。そこには、「それが良い悪い」は含まれていない。
 
結局「人の世」で、「組織」で、組織的に何かを達成するためには、リーダーは適切に影響力を行使することが求められる。
 
「権力動機がない」という言い方をすると分かり易い。それは、つまり「人を支配下に置く・人に影響力を及ぼす」ということに「興味が向かない人」ということ。そういう人は、ネガティブに言えば、周りを見ずにスタンドプレーに走る可能性がある。個人レベルの仕事ならそれでもいいかもしれないが、組織レベルの仕事となるとそういう人は、自分の責任で(周りがうまく回るように心を砕かないため)周りに足を引っ張られて良い成果を上げられなくなる。ということ。
 
「権力動機がある人」とは、「人を支配下に置く・人に影響力を及ぼす」ということに「興味が向かない人」のこと。ここで注意しないといけないのは、この興味は、その人の特性みたいなもの。「個人的権力を欲するため」や「組織目標を達成するため」という、「人を支配下に置く・人に影響力を及ぼす」ということに「興味」の理由の、さらに根元には、「社会」というものを意識しやすい傾向があるということ。そして、権力動機は、その傾向のことをさしている。
 
 

[2月号]「自分らしさ」のリーダーシップ

タイトル
「自分らしさ」のリーダーシップ
Discovering Your Authentic Leadership
 
著者
ウィリアム W. ジョージ
William W. Geroge
ピーター シムズ
Peter Sims
アンドリュー N. マクリーン
Andrew N. McLean
ダイアナ メイヤー
Diana Mayer
 
掲載
Februray, pp. 64- 68, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
一流のリーダーを真似たところで、一流になれることはない。第一線のリーダー125人へのインタビュー調査の結果から、「自分らしさを貫く」ことがリーダーの試金石であることが明らかになった。
 
要約
自分らしさを貫くリーダーは自らの目標に情熱的に取り組み、自らの価値観をぶれることなく実践し、知識だけでなく感情の面から人々を引っ張っていく。実りある人間関係を長期的に築き、みずからを律することで結果を出す。「理想のリーダー像」というものは存在しない。共通の特徴やスキル、スタイルというものは無いのだ。在るのは、彼ら・彼女らは「自分らしく振舞っている」ということだけである。
 
大切なことは、己を見返し、「自分はどのような人間か」をいうことを自分で認識することである。それは、「こうありたい」とか「こうであるはずだ」というのではなく、客観的に自分はどういう人間か、どういう価値観を持っているのか、ということを認識することである。
 
感想
まさに、「自己認知」の重要性を説いたもの。自分がどういう人間で、どういう価値基準を持っているのかということを知ることは必要なんだろうね。

[2月号]自問と自省のすすめ

タイトル
自問と自省のすすめ
What to Ask the Person in the Mirror
 
著者
ロバート・スティーブン・キャプラン
Robert Stevern Kaplan
 
掲載
Februray, pp. 58- 61, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
昇進の階段を上るにつれて、率直にアドバイスしてくれる人が減っていき、自分の仕事振りを正しく認識で着なくなり、成功の道から外れてしまう。このような落とし穴を避けるためには、虚心坦懐に自問自答し、内省することが不可欠だ。
 
要約
リーダーたちは定期的に次の7つの質問について説明するべきである。こういう自問自答をすることによって仕事から一歩離れ、重要な問いに答える時間を設けることで、自分のパフォーマンスを改善し、深刻なビジネス上の問題が生じるのを未然に防げるのだ。
  1. どれくらいの頻度でビジョンを伝えているか。何がビジョンであり、何が優先課題なのかと問われて、部下たちは答えられるか
  2. 私はどのように時間を使っているのか
  3. 部下たちに行動を起こすきっかけとなるようなフィードバックをタイミングよく与えているか。耳が痛いとはいえ、聞かなければならない話をしてくれる年下の社員が5,6人いるか
  4. 頭の中では、後継者候補を少なくとも一人、あるいは数人選んでいるか
  5. 私はアンテナを張り巡らして事業環境の変化を察知し、それに応じて事業を見直したり、運営方法を変えたりしているか
  6. プレッシャーが掛かると、どのような行動に出るか。その行動は、部下たちにどのような信号を送っているのか。
  7. 自分のリーダーシップ・スタイルは本当の私をキチンと反映しているのか。自分の考えをもれなく伝えられているか、それとも遠慮しがちになってはいないか。当たり障りのない言動が多くないか。昇格やボーナスのことが気になるあまり、手加減したり、自分の意見を言うことをためらったりしてはいないか
 
感想
自律に向けての具体的自問項目。非常に分かり易い。いいなぁ。みんなが常々これを思い浮かべながら行動してくれてたらいいのに。というか、まずは自分が意識することだな。

2010年1月27日水曜日

[2月号]GE出身者でも失敗する時

タイトル
GE出身者でも失敗する時
Are Leaders Portable?
 
著者
ボリス・グロイズバーグ
Boris Groysberg
アンドリュー・N・マクリーン
Andrew N. McLean
ニティン・ノーリア
Nitin Nohria
 
掲載
Februray, pp. 52- 56, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
経営者人材の宝庫といわれるゼネラル・エレクトリック出身者でも新しい環境で機能せず、不調に終わり、辞任に追い込まれていることがある。経営者として実力を発揮するには、その能力と環境の適合性がかぎとなる。
 
要約
「経営者のスキルは、ある環境から別の環境にそのまま移植できる」という仮説は正しいのだろうか?実際には、経営がうまくいくかは環境に大きく依存している。
ハーバード・ビジネススクールのリーダーシップに関するケース・スタディから、ある企業に好業績をもたらしたスキルと経験は、移籍先の経営環境が同じであれば、業績に貢献する。
組織の構成要素の一つである「人的資本」は以下の5つがある。(1)や(2)は経営環境が変ったとしても、すなわち、企業が変ったとしても、その能力を発揮できるものであるが、(4)や(5)は、その企業の中で能力開発していかなくてはいけない。
 
(1)経営関連人的資本(General Managment Human Capital)
資本、技術、人材といった経営資源を結集したり、育成したり、活用したりするスキル。リーダーシップ、意思決定能力、業務上の専門知識。比較的、移植し易い。
 
(2)戦略関連人的資本(Strategic Human Capital)
コスト削減、成長の牽引、製品サイクルが安定した市場における調整を遂行しているスキル。成長期にある企業同士では移植し易い。
 
(3)産業関連人的資本(Industry Human Capital)
特定業界の技術、規制、顧客、サプライヤーに関する知識。同じ業界内では移植しやすい。
 
(4)人間関係人的資本(Relationship Human Capital)
チームメンバーや同僚などとの人間関係に基づくもの。以前の会社での同僚を引き抜いてこれればよいが、一人で転職した場合には、自分で新しい社内人脈を構築しなければならない。
 
(5)企業固有人的資本(Company-Specific Human Capital)
企業固有の社内手続き、企業文化、不文律、システムやプロセスに関する知識。最も移植しにくい。が、CEOに限っては、よく知っているシステムやプロセスを導入・実践できるため、これまでの知識を応用できる可能性がある。
 
 
CEOを迎え入れる時には、実績と経歴を見るのは当然だが、そのCEO候補はどのような人的資本を持っているのか、新しい環境に移植可能なのか、どれくらい役に立つのかを事前に評価しておいた方が良い。そして、必ずしも相性は良くないと判断されても、取締役と経営陣はそれでも招聘するつもりならば、改革を覚悟すべきである。CEO候補の経験と自社の戦略をつぶさに比較し、システム面や戦略面における大胆な改革に取り組む意思があるならば、どこから人材を連れてきてもうまくいくだろう。
 
感想
CEOを迎え入れる時のお話。安易に、「●●出身だから」という肩書きに飛びつくなよ、ということ。CEO候補者、というより、管理職一般にいえる話として、その人が持っている能力を「人的資本」という名前をつけ、を移植性という点からまとめている。人的資本を5つに分類しているところが面白い。

2010年1月22日金曜日

[2月号]新任CEOの当惑

タイトル
新任CEOの当惑
Seven Surprise for New CEOs
 
著者
マイケル  E. ポーター  
Michael E. Porter
ジェイ W.ローシェ
Jay W. Lorsch
二ティ ノーリア
Nitin Nohria 
 
掲載
Februray, pp. 48- 51, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
新任CEOは就任と同時に、みずから想像していたのとは大きく異なる現実に直面する。目の前に立ちはだかる、7つの「意表をつく事実」に着目することで、CEOとしての大成を左右する、リーダーシップの本質が浮かび上がってくる。
 
 
要約
新任CEOがCEOに就任してから「意表を突かれた」と思う事実は7つある。
  • 事実1:経営を担っているのはCEOではない。
    • (兎に角時間が無く、事業を成功させる責任を負っているにも関らず、大規模で複雑な意思決定を一手に引き受けることができない。事業そのものに携われるチャンネルは非常に限られている)
  • 事実2:命令を下すことはリスクが高い。
    • 与えられた強大な権限でもって命令を出すと、逆に自らの実権を弱め、CEOと組織のエネルギーを削ぎ、発展を遅らせる。むしろ、経営幹部を巻き込む方法を探し出し、判断の基準を「独自に設定」するのではなく、基準について合意を形成するべきである)
  • 事実3:社内の現実を把握できない
    •   手元には洪水のごとく情報が送られてくるが、信頼に足る情報は極めて少ない。よきにつけ悪しきにつけ、各人の思惑によってふるいにかけられた情報となる。
  • 事実4:CEOの言動一つ一つがそのままメッセージとなる。
    • CEOは自分たちの言葉が多大な影響を与えることを想像していはいるが、実際にはその想像以上に、影響を与えるメッセージとなる。
  • 事実5:取締役会は「上司」とである
    • CEOはヒエラルキーの頂点にいるが、取締役会への報告義務を負っている。また、昨今取締役会はその威信を高めており、従来にもまして取締役会への対応に配慮しなければならない。それはあたかも、取締役会という上司がいるかのごとくである。
  • 事実6:企業の目標は短期利益の追求ではない
    • CEOはすべての株主を喜ばせようとして右往左往してはならない。それは不可能である。重要なのは目先の成長見通しでも、株価でもなく、長期的視点で見た収益性であると肝に銘じておく必要がある。
  • 事実7:CEOといえども一人の人間にすぎない
 
感想 

[2月号]カリスマ型リーダーはもういらない

タイトル
カリスマ型リーダーはもういらない
We Don't Need Another Hero
 
著者
ジョセフ  L. バダラッコ, Jr. 
 Joseph L. Badaracco, Jr. 
 
掲載
Februray, pp. 41- 45, 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
いつの時代も、華々しいリーダーシップに注目が集まるが、現実を見据えた上で、問題を解決する「物静かなリーダーシップ」は、より現実的で効果が高く、持続可能なアプローチとして有効である。 
 
要約
ビジネスの世界での最も有能なモラル・リーダーは、マッチョなヒーローではなく、辛抱強く、慎重に、少しずつ着実に前進し、目立たないように、職場で不正を正す、あるいは防ぐ。 
こうした「物静かなリーダーシップ」には以下のような4つの原則がある。
  • 性急に事を起こさない
  • 無用な戦いは避ける
  • 規則を曲げるが破りはしない
  • 妥協点を見つける
(なお、「規則を曲げる」 とは、「倫理」と「状況」とを照らして、あえて規則を曲げてでもより大きな責任を果たす道を選ぶということである。)
 
「物静かなリーダー」は決して英雄ではない。しかし、人間関係が絡む厄介な問題の大半は、トップにいる人間の華々しい努力では解決しない。こうした問題を解決するのはスポットライトから遠い位置にいる人たちのたゆみない努力によってである。

感想 
本当に優秀なリーダーは、「物静かなリーダー」である。つまり、問題が起こる前に事前に問題の芽を摘むことが出来る。事前に問題の芽を摘むので組織には問題が起こらない。なので、組織は「静かに」なものとなる。なお、ここでの「問題の芽を摘む」というのは、「今の仕事の仕方では、こんな問題が生じ得る」という「まだ起こっていないが、起こりえる」問題に気付いて、その問題が起こりえないような仕事の仕方にするということである。(例えば、人が絡めば問題が起こるのだから、人が絡まないようにする、といった感じのこと)
 

[2月号]悪徳リーダーに学ぶもの

タイトル
悪徳リーダーに学ぶもの
Leadership-Warts and All
 
著者
バーバラ・ケラーマン
Barbara Kellerman   
 
掲載
Februray, pp. 40- 43 , 2010. (in Japanese Edition)
 
序文
 リーダーの肯定的な部分にばかり注目していては、リーダーシップの何たるかを知ることは出来ない。悪人のリーダーからも学ぶところは多いはずであり、その両面性を踏まえて、初めてリーダーシップの全体像がつかめるのではないだろうか。
 
要約
「威圧的なリーダーシップ」というだけで悪と取られることは多い。 リーダーは道徳の一概念ではない。問題は、リーダーに対し、「リーダーゆえに、信頼でき、勇敢かつ、寛容でなければ成らず、決して人を騙したり、臆病であったり、良く深かったりしてはいけない」として、自らをごまかすような行いをさせかねないことである。自らの欠点に気付き、これを管理できた時だけ、人として、そして社会として偉業を成し遂げられる。
 
感想 
先のカリスマ性とも通じる話か。ただ、今度はカリスマ自身に対する教訓。前のは、カリスマを呼び寄せる取締役会に対する教訓