タイトル
頼れるフォロワー困ったフォロワー
What Every Leader Needs to Know About Followers
著者
バーバラ・ケラーマン
Barbara Kellerman
掲載
Feburary, pp.130-133, 2010 (in Japanese Edition)
序文
フォロワー(部下)の理解なくして、効果的なリーダーシップはありえない。彼ら、彼女らを、能力や業績で評価し分類する前に、その行動特性について分析し、能力やパフォーマンスを向上させる方法について考えるべきである。
要約
これまでフォロワーの研究はほとんどなされていないし、されてたものでも、リーダーの成長という観点からフォロワーの行動を説明しようとしているか、もしくはフォロワーは類型化できないという間違った仮定をしているかのどちらかである。このため、何も考えずにリーダーの言うままになっているフォロワーと、仕事にひたむきに取り組むフォロワーとの違いにほとんど気付かない。しかし、実際には、フォロワーの個性や持ち味は、リーダーのそれと同じくらい重要である。
そこで、フォロワーを「仕事にさめており、何もしない者」と「情熱をたぎらせ、仕事に貢献する者」を両端とした軸上に位置づけることを試みた。その結果として、フォロワーを以下の四つに類型化した。
- 孤立者
- 周囲の出来事や様子にまったくと言ってよいほど無頓着で、上司にも関心を示さず、何も知ろうとしない。表立った反応すら示さない。
- 何にも係わろうとしないことで、現状を黙認し、リーダーの立場を強大化させる。
- 孤立者はリーダーの死角に入っており、リーダーは孤立者の態度や行動にほとんど気付かない。
- 孤立者が組織にもたらすものはほとんどない。また、このタイプが増えると意図しなくても組織の進歩や変革のブレーキとなる。
- 傍観者
- 周りの様子を見ているだけで自分では何もしない。
- 状況を静観し、上司からもグループや組織からも距離を置きつつ、褒美にはありつこうとする。
- 自分にとって得だと思えば、素直に追従するが、身を粉にしてまで働くという気持ちはまったくない。
- 周囲の状況に対しては敏感。その感性で状況を観察しながら、「出る杭」にはけっしてなるまいと思って行動する。
- 「言われた仕事だけをやってくれていればそれでよい」という考え方のマネジャーには都合が良いが、企業ミッションへの貢献を求める上司にとっては期待はずれ。
- 参加者
- リーダーや組織を強く支持する、あるいは逆に正面から反旗を翻すなど、みずからの時間や資金など、資源を投じて何らかの影響力を行使しようという気構えの持ち主
- リーダーは全員に目を配り、特に自分に対して賛成と反対どちらの立場にあるのかを見極める必要がある。
- 活動家
- 参加者をより極端にしたもの。
- 人の面倒見がよく、プロセスの改善にも献身的。信じるリーダーのためなら粉骨砕身するが、気に入らないリーダーの場合、足を引っ張ったり、追い出したりする。
- それだけの情熱を傾ける以上、グループや組織への影響力も並々ならないものがある。能力の高い活動家は忠誠心に燃え、献身的に仕事に励むため、リーダーやマネジャーの片腕として取り立てられることが多い。
- 硬骨漢
- リーダーの魅力か組織の大儀か、あるいは、まったく別の価値観か、いずれに突き動かされているにせよ、あくまでおのれの動機にこだわる。
- 一旦相手のほれ込んだり、大儀に心を動かされたりしたら全身全霊をもって尽くす。
- リーダーにすれば心強い味方か、危険分子かのどちらかである。
当然ながら、何もしないフォロワーより、何かをするフォロワーのほうが好ましい。
優れたフォロワーは、仕事が出来て道徳観のあるリーダーに味方し、仕事が出来ず道徳心に乏しいリーダーに反発するものだ。彼ら彼女らはリーダーの実像とその主義主張を、自分なりにじっくり見極めようとする。その判断に基づいてしかるべき行動に出る。
無能なフォロワーは、グループにも組織全体にも全く貢献しない。あるいは、優れたリーダーの脚を引っ張り、無能なリーダーの片棒を担ぐ。
結局、フォロワーもリーダーと同じく、可能な限り自分の利益に沿った行動を取ろうとするものだ
感想
結論として、5つのパターンはなんとなく納得。人数配分としては、1:2:3:2:1とかかな?
フォロワーの研究、理想的な部下像の研究ってたしかにあまり見たことがない。